生存戦略やりません

ラーメンをたらふく食べて早く死ぬ

器用さの功罪

日々の所感を、感覚だけで終わらせずに言語化することの重要さを感じるこの頃です。

 

働き始めてから、テイスティングコメントをしたためずにワインボトルの写真だけを残すことが多くなりました。

 

「色調は淡いルビー、若々しくフレッシュ。始めはバラやチェリーなどの華やかな香りが目立つが、時間が経つにつれ甘草などスパイスの…」

 

みたいなやつです。(カルテで言うO)

側から見ると小恥ずかしいですし、食事中に口走れば、2chTwitterに登場する女さんから叩かれそうです。

 

趣味のワイン程度なら、五感で感じて記憶していれば十分と考えていましたが、あら不思議、数ヶ月前に飲んだものですらちっとも思い出せません。

日々の雑多な介護老人の情報で押し流される豊かな記憶たち、自分のキャパなんてこの程度かと悲しくもなります。

 

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さて、そういうことで久しぶりにブログでも書いてみる訳です。

とはいっても、ネタになりそうなのは個人情報や時事ネタしかなく、私は社会派でもないので、皆さんに有益な情報はお届けできません。

 

仕方がないので、1年間温めてきた人間観察の総まとめでもしたいと思います。

赤旗病院や精神科単科病院での思い出が主になります。

 

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〜犯罪者とは何か〜

定義としては、「触法行為を行った者で、刑事責任能力を有するもの」で終わりかとおもいますが(細かいことは専門書に譲る)

 

3つの側面があります。

1. 行為が法に抵触するか

2. 行為が有害であるか

3. 行為者を非難しうるか

法律の言葉では、構成要件に該当し、法益を害するものであり(違法性)、有責性がある場合、という風に言うそうですね。

 

つまりは、実際に行為をしていてもそれが犯罪に該当しなければよく、不可抗力であったり行為そのものがなければ犯罪者ではないということです。

 

一つ事例を挙げてみましょう。

例えば友人が、急に他人の車にドロップキックをしたり、飲酒をして公道を斜行した場合にどのような振る舞いをするか、です。

 

その友人は当然、犯罪者ですよね。素人でも分かります。

ある人はキックの瞬間、一目散にその場を立ち去りました。

またある人は斜行する車に同乗してしまいました。

 

あなたならどうするでしょう…?

 

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赤旗病院には、強姦事件で執行猶予のついた後、復帰した医師がいます(調べればわかります)

※事実として上がっていること以外はややぼかして記載します。

 

病院職員からは、「ここは更生施設じゃないんだぞ」の声が上がりました。

パーソナリティ障害だのサイコパスだの好き勝手に素人診断を下す医師もいました。

(実際に院内でも不和を起こしていたそうなので感情としては理解できる。)

 

しかし、実際に仕事を共にしてみての感想としては、「不器用」「中途半端に真面目」「要領が悪い」に尽きました。

 

・思い入れの強い患者の死に涙する人間的な一面もあり。

・ICで、まだ診断が確定しておらず上級医とのすり合わせも済んでいないのに、オペの合併症をフルコースで説明して、患者家族から揚げ足をとられたことあり。

 

事件当時、本番はせずに身体を触るのみに留まっているため実刑判決とはなっていません。

実際、その場にいた傍観者は無罪になっており、ワンタッチが命運を分けています。

 

判断能力やコミュニケーション能力に乏しい酩酊集団でなければ、重大犯罪にまで発展しなかった可能性も考えられます。

※あと、犯罪者のネームバリューもある。

(大学生のサークル飲み会お持ち帰りなど、日常に強姦は溢れているが、それは潜在化されているため)

 

そして、某氏はとにかく不器用な立ち回りをしてしまったのだと想像します。

そのため後遺症としてのフラストレーションも大きかったのでしょう。

(擁護はできませんが)

 

犯罪者が器用で、事態が進行してから明るみに出る場合は悲惨です。

反面、ペテン師や教祖に自分を差し出す人間は幸せを享受し救済されているという側面も往々にしてあり、境界が難しい。

(縮小したものがメンヘラとホイホイの関係なのかも)

 

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精神科病院では、毎日カルテパトロールを欠かさず行い、精神鑑定にも参加しました。

n数が稼げたので精神疾患に対する解像度もかなり上がったと思います。

 

激ヤバ患者シリーズは挙げるときりがないので割愛。

※個人情報はバレないように口頭で!

 

(以下独り言:

素人目にはアグレッシブで派手な急性期の病態が印象に残りがちだが、本質はそこではなく

植え付けられた病的観念の強固さが重症度に結びついていると感じた。

生育歴から見た精神病理の考え方は古めかしいがやはり臨床の現場でも重要。)

 

犯罪の花形は強姦や暴力など、いわゆる「悪いヤツ」によるものだが、薬物犯罪や放火などに代表される、弱者の犯罪が多くを占めている。

 

「救いてぇ」ではないが、仕事と知的好奇心が両立できるなら精神科医を一定期間やってみるのも悪くないなと思う。

身体科では、患者のわけわからん話を聞いても時間の無駄だが、精神科は話をすること自体が治療になるためなおよい。

 

いずれにせよ、精神病理の言葉で整理するスキルは弱者である自分の心を安定させるのにも役立つ。

 

ので、精神科マニアでは居続けようかと思いました。

 

ただ犯罪全般への所感を述べただけになってしまいましたが終わります。

赤旗病院はいいところなので、離れるのが悲しいです。